マンションは購入すべき?賃貸と比較したメリット・デメリットを解説
目次
マンションの購入時には「不動産取得税」や「不動産登記費用」などの支払いが発生します。
また、住宅ローンを借り入れる場合は、金融機関に対して事務手数料や保証料などを支払わなければなりません。
このようなマンション購入時の諸費用は、状況によって異なりますが、一般的には物件代金の3~5%前後が目安になります。
物件価格ごとの諸費用の目安を、以下表にまとめました。
物件価格 | 諸費用の目安 |
3,000万円 | 90~150万円 |
3,500万円 | 105~175万円 |
4,000万円 | 120~200万円 |
4,500万円 | 135~225万円 |
5,000万円 | 150~250万円 |
5,500万円 | 165~275万円 |
6,000万円 | 180~300万円 |
6,500万円 | 195~325万円 |
7,000万円 | 210~350万円 |
7,500万円 | 225~375万円 |
8,000万円 | 240~400万円 |
※物件価格の3~5%で計算
マンション購入時の諸費用は住宅ローンに組み込んだり、諸費用ローンを借り入れたりすることもできます。
しかし、諸費用をローンで支払うと、毎月の返済負担が増えてしまい、マンション購入後の家計を圧迫しやすくなります。
またすべての金融機関が、諸費用を借入額に含めるローンを取り扱っているわけではありません。
そのため資金計画を立てる場合、諸費用は現金での支払いを想定しましょう。
貯蓄だけでは資金が不足する場合、親や祖父母から資金を援助してもらうのも方法のひとつです。
マンションを購入する際は、頭金や住宅ローンの借り入れ費用などを準備する必要があります。
住宅ローンを借り入れる場合は、以下を支払う必要があります。
事務手数料とは、住宅ローンを借り入れる金融機関へ支払う手数料です。
事務手数料には「定額型」と「定率型」の2種類があります。
定額型は住宅ローンの借入額にかかわらず、数万円や数十万円など金融機関が定める一定金額を支払います。
一方で定率型とは、住宅ローンの借入額の2.2%程度を事務手数料とする支払い方式です。
保証料とは、住宅ローンの返済が滞った場合に、残債を肩代わりしてくれる保証会社に対して支払う手数料です。
保証料の支払い方法には「外枠方式」と「内枠方式」の2種類があります。
外枠方式は、住宅ローンを借り入れるときにまとめて支払う方法です。
途中で繰上げ返済をして、住宅ローンを完済すると、残りの返済期間に応じた金額が返還されます。
内枠方式とは、住宅ローン金利に0.2%程度を上乗せして保証料を支払う方法です。
内枠方式で保証料を支払うと住宅ローンの毎月の返済額が増えるため、返済負担が家計を圧迫する恐れがある点に注意が必要です。
住宅ローンを借り入れる際は、金銭消費貸借契約を結ぶ必要があります。
金銭消費貸借契約書に、収入印紙を添付して支払う税金が印紙税です。
印紙税の金額は、契約書に記載された住宅ローンの借入額によって異なります。
例えば、金銭消費貸借契約書に記載された金額が、1,000万円を超え、5,000万円以下であった場合、印紙税額は2万円です。
印紙税額は、国税庁のサイトに記載されていますので、併せてご確認ください。
マンションを取得した場合は、不動産登記(所有権移転登記)をしなければなりません。
さらに住宅ローンを組んだ場合は、抵当権設定登記も必要です。
抵当権とは、住宅ローンを借り入れた人が返済を滞納した場合に、金融機関が担保としている物件を差し押さえて競売にかけられる権利です。
登記をする際は、登録免許税を支払う必要があります。
また登記を司法書士に依頼する場合、依頼料を別途支払わなければなりません。
登録免許税とは、登記をする際に支払う税金です。
税額は、不動産の価格や住宅ローンの借入金額に、税率をかけて計算します。
登録免許税の税率
土地 | 建物 | |
所有権移転登記 | 2.0%(1.5%※) | 2.0% |
抵当権設定登記 | 0.4% |
※2023年(令和5年)3月31日までに登記を受ける場合
不動産登記や抵当権設定登記は、法律や不動産の専門的な知識が必要となるため司法書士に報酬を支払って依頼するケースがほとんどです。
司法書士への依頼料は、10万円前後が一般的で、登記費用と合わせて支払います。
仲介手数料とは、マンションの売買を仲介する不動産会社に支払う手数料です。
仲介手数料の金額は、不動産会社によって異なりますが、多くの場合で法律が定める上限額である「物件価格×3%+6万円+消費税」に設定されています。
ただし仲介手数料の支払いが発生するのは、基本的に中古マンションの購入時です。
新築マンションは、売主であるデベロッパーの子会社である販売会社が、販売を担当しているケースがほとんどであるため、多くの場合で仲介手数料の支払いは発生しません 。
マンション取得時には、以下の税金の支払いが発生します。
固定資産税とは、毎年1月1日時点で不動産を所有している人に課せられる税金です。
都市計画税は、所有するマンションが市街化区域内にある場合に支払う税金です。
マンションを取得する時は、固定資産税と都市計画税について、引渡し日から翌年の起算日の前日までで日割り計算した税額を支払う必要があります。
起算日は、一般的に関東地方の場合1月1日、関西地方は4月1日です。
住宅ローンを組んでマンションを購入する場合、金銭消費貸借契約書と売買契約書の両方に収入印紙を貼付して、印紙税を納めなければなりません。
なお2024年(令和6年)3月31日までに作成された不動産の譲渡に関する契約書に添付する印紙税については、軽減税率が適用されます。
例えば、売買契約書に記載された金額が1,000万円を超え5,000万円以下であった場合、本来であれば印紙税額は2万円ですが、軽減税率が適用されると1万円となります。
不動産取得税とは、マンションを含む不動産を購入したときに支払う税金です。
土地と建物それぞれの不動産価格(課税標準額)に、税率をかけて税額が計算されます。
税率は本来4%ですが、2024年(令和6年)3月31日までに取得した土地や建物については3%です。
また不動産取得税は、所定の要件を満たしたうえで申告書を提出すると、軽減措置が適用されて税負担が減ります。
マンション購入時の諸費用には、他にも火災保険料や地震保険料、引っ越し費用などがあります。
火災保険は、火災や風災、水災、盗難などで建物や家財(家具・家電など)が負った損害を補償する保険です。
地震保険は、地震や噴火、それにともなう津波による損害を補償します。
マンションを購入する際、火災保険や地震保険に加入する場合は、保険料を支払わなければなりません。
保険料は、マンションの所在地や補償額(保険金の支払上限額)などで変わります。
また火災保険と地震保険では、保険料の決まり方や計算方法が異なります。
住み替え先への「引越し費用」も支払うことになるでしょう。
引越し費用は、荷物の量や移動距離、引っ越しを依頼する業者などによって異なります。
またお部屋の広さやデザインなどが、それまで住んでいた住居と変わることで、家具や家電を新調するための費用も発生するでしょう。
マンション購入をする時の予算を立てる際は、 引越し費用や家具・家電の買い替え費用なども考慮しましょう。
モデルケースをもとに、マンション購入時の諸費用をシミュレーションしてみましょう。
条件は、以下のとおりです。
物件価格:4,000万円
以上の条件における諸費用の目安と支払うタイミングは、以下のとおりです。
金額の目安 | 支払うタイミング | |
印紙税(マンションの売買契約書) | 1万円 | マンションの売買契約時 |
印紙税(金銭消費貸借契約書) | 2万円 | 住宅ローンの契約時 |
住宅ローンの事務手数料 | 88万円 | 残代金の決済・引き渡しのとき |
住宅ローンの保証料 | 3万円 | 残代金の決済・引き渡しのとき |
登録免許税(所有権移転登記) | 30万円 | 残代金の決済・引き渡しのとき |
登録免許税(抵当権設定登記) | 4万円 | 残代金の決済・引き渡しのとき |
司法書士報酬 | 10万円 | 残代金の決済・引き渡しのとき |
火災保険料(5年分) | 20万円 | 火災保険に加入するとき |
引っ越し費用 | 20万円 | 引っ越しをするとき |
固定資産税・登録免許税の清算金 | 8万円 | 残代金の決済・引き渡しのとき |
不動産取得税 | 0円 | – |
合計 | 186万円 |
※税額については2022年10月現在で実施されている軽減措置を考慮して計算しています
※上記はあくまでシミュレーションであり実際の金額とは異なる場合があります
計算の結果、諸費用の金額は186万円となりました。
物件価格4,000万円に対する諸費用の割合は、約4.7%となります。
マンション購入時の諸費用を節約する主な方法は、以下のとおりです。
所有権移転登記や抵当権設定登記は、自分自身でも手続きできます。
ご自身で手続きを行えば、司法書士に報酬を支払う必要はありません。
ただし登記手続きには専門的な知識が必要となり、また自分自身で行う場合は時間はかかるかもしれません。
火災保険は、補償範囲や補償額などで火災保険料が変わるため、自分自身にとって必要な補償に絞ることで保険料負担を抑えられる可能性があります。
例えばマンションのセキュリティ性能が高いのであれば、盗難補償を外すのも選択肢のひとつです。
また家具や家電、衣服などの家財を補償の対象に含む場合は、万が一火災で自宅が燃えたときに必要な家財一式を買い直すために必要な金額を確認しましょう。
買い直しに必要な金額を確認し、適切に補償額を設定することで、余分な保険料を支払わずに済みます。
住宅ローンの頭金とは、マンションの購入代金のうち、自己資金で支払う部分です。
住宅ローンを利用してマンションを購入するケースでは、諸費用に加えて頭金の用意が必要な場合もあります。
頭金は一般的に購入価格の2割程度が目安といわれています。
頭金が多いほど、住宅ローンの借入額は少なくなり、毎月の返済負担を減らせます。
一方で頭金の準備に時間がかかり、住宅ローンの借り入れが遅れて、完済が70歳や80歳になってしまうと、返済負担が老後生活を圧迫する恐れがあります。
また住宅ローンの頭金に、預貯金の大半を充ててしまうと、ご自身が病気やケガで働けなくなったときや、子どもが進学するときなどに資金が不足する可能性があります。
住宅ローンの完済年齢や今後のライフプランも踏まえて、頭金として準備する金額を決めましょう。
マンションを購入したあとは、以下の支払いが発生します。
住宅ローンを借り入れた場合、毎月一定額を返済していく必要があります。
住宅ローンの毎月の返済額は、借入額だけでなく金利タイプや返済期間、返済方法などによって異なります。
住宅ローンの返済と合わせて毎月支払うのが「管理費」や「修繕積立金」「駐車場・駐輪場代」などの維持費です。
管理費とは、マンションの共用部分・設備などの清掃や保守、点検などにかかる費用です。
管理人の人件費も、基本的に管理費に含まれます。
管理費の金額は、マンションの広さや戸数などによって変わります。
修繕積立金とは、将来的に実施されるマンションの大規模修繕に備えて積み立てるお金です。
修繕積立金の金額はマンションによって異なりますが、築古物件ほど高くなっていくのが一般的です。
また積立金が不足していた場合、大規模修繕時に一時金を徴収される場合があります。
車を所有している場合は、駐車場代の支払いが必要です。
金額は、車を停める場所や屋根の有無などによって異なります。
またマンションによっては、駐輪場代の支払いが必要です。
マンションを購入したあとは、固定資産税を毎年支払わなければなりません。
またマンションがあるエリアによっては、都市計画税の支払いも必要です。
固定資産税と都市計画税は、どちらも土地と建物それぞれの課税標準額に税率をかけて税額を計算します。
税率は、固定資産税が1.4%、都市計画税が0.3%です。
また土地のうえに居住用の建物がある場合「小規模住宅用地の特例」が適用されて、固定資産税や都市計画税の税額が軽減されます。
加えて所定の建築基準を満たす築5年以内のマンションを購入した場合は、固定資産税に最大5年間の軽減措置が適用されます。
マンションの購入時には、物件代金の他にも「不動産取得税」「印紙税」などの税金や、「事務手数料」や「仲介手数料」などの費用がかかります。
マンション購入時の費用がいくらかかるのかは、地域や住宅ローンを借り入れる金融機関など、さまざまな要素によって異なります。
マンションを購入するときに必要な費用の総額が分からない場合は、不動産会社に相談して試算してもらうとよいでしょう。