マンション購入の検討時は管理費も確認しよう!相場や修繕積立金との違いも解説
目次
実際に建てられているマンションは、何年で寿命を迎えているのでしょうか。
ここでは、マンションの平均寿命をご紹介します。
国土交通省の資料によると、鉄筋コンクリート(RC)造の建物の平均寿命は、約68年とされています。
この平均寿命は、自治体が管理する土地や建物などの台帳(固定資産台帳)にあるデータを参考に算出された数字です。
一方で同資料には、マンションの鉄筋を覆うコンクリートの寿命(効用持続年数)は、通常の維持補修を行った場合 は120年、外装仕上げにより延命をした場合は150年とも記載されています。
実際のデータをもとに考えると、マンションの平均寿命は70年程度とされていますが、適切なメンテナンスを行えば100年以上もつとも考えられます。
※出典:国土交通省土地・建設産業局不動産業課 住宅局住宅政策課「期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について」
マンションの寿命と似た言葉に「法定耐用年数」があります。
鉄筋コンクリート(RC)造や鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造のマンションの法定耐用年数は、47年です。
※参考:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数(建物/建物附属設備)」
そのため「マンションの寿命は47年」という話を聞いたことがある人もいるかもしれません。
しかし、法定耐用年数とは、会計上で建物の資産価値がゼロになるまでの年数のことであり、実際に居住できる期間を示すものではありません。
法定耐用年数は、所得税や法人税などを計算するときに、統一した基準で「減価償却」という会計処理ができるように、国税庁が定めた数字です。
法定耐用年数は、あくまでマンションの資産価値が「会計上で0円になるまでの年数」を表しているにすぎません。
実際の寿命と法定耐用年数は異なるため、新築から47年以上経過したマンションであっても、適切にメンテナンスされていれば居住は可能です。
マンションの寿命に影響する要素には「耐震基準」「メンテナンスの状況」「コンクリートの質」「立地」が挙げられます。
それぞれどのように影響するのかをみていきましょう。
耐震基準とは、簡単にいえば「建物が満たしているべき地震の耐性基準」のことです。
1981年6月1日以降に建築確認されたマンションは「新耐震基準」が適用されており、震度6強〜7程度の地震が発生しても、倒壊しないように建てられています。
一方、建築確認が1981年5月31日以前のマンションは「旧耐震基準」が適用されています。
旧耐震基準では、震度5強程度の中規模地震で倒壊しないことが基準です。
旧耐震基準のマンションは、新耐震基準のマンションよりも耐震性能が低い傾向にあるため、寿命が短くなる可能性があります。
世界有数の地震大国といわれる日本で暮らすのであれば、耐震性能が高い新築マンションや築浅マンションのほうが、安心して長く暮らせるでしょう。
構造や規模などが同じマンションであっても、メンテナンス状況によって寿命は大きく変わります。
外壁や配管、コンクリートなどが定期的にメンテナンスされていれば、マンションの寿命は長くなるでしょう。
とはいえ、構造上の問題でメンテナンスができないケースもあります。
例えば、1960年〜1970年の高度経済成長期に建てられたマンションの多くは、配管がコンクリートに埋め込まれており、修繕や交換が困難です。
また、築年数の古いマンションは、長期修繕計画が定められておらず、劣化や破損が放置されたままになるケースもあります。
マンションを選ぶ際は、長期修繕計画の有無や修繕・メンテナンスの予定などを確認することが大切です。
コンクリートは、年月の経過にともなって大気中の二酸化炭素の侵入により、アルカリ性から中性へと変化(中性化)していきます。
中性化が進むにつれて、マンションの鉄筋部分に腐食が起きやすくなります。
マンションに質の悪いコンクリートが使用されていると、中性化による鉄筋部分の腐食が進行しやすい可能性があります。
また、外壁や廊下などにひび割れが目立ち始める時期も早まりやすいため、質の悪いコンクリートは、マンションの寿命を大幅に縮める要因といえます。
近年では 、大規模修繕をしなくても100年はもつ高強度のコンクリートで建てられたマンションも増えてきました。
マンションにできるだけ長く住みたいのであれば、コンクリートの質にも注目してみましょう。
マンションが建っている場所や周辺環境によっても、寿命は変わります。
例えば、日当たりが悪いマンションはカビが生えやすいため、配管の腐食によってマンションの寿命が短くなるかもしれません。
また、海岸から近い場所 に建っているマンションは、塩害によってコンクリートの劣化が早く進む可能性があります。
寿命の長いマンションを選ぶ際は、立地もよく検討することが重要といえます。
マンションが寿命を迎えると、どうなってしまうのでしょうか。
寿命が尽きたときの選択肢をみていきましょう。
マンションが寿命を迎えたときに、区分所有者の負担で建て替えをするのが1つ目の選択肢です。
区分所有者とは、マンションの専有部分(主に室内)を所有している人のことです。
建て替えをする場合、建物の取り壊し費用や再建築費用などは、すべて区分所有者が負担します。
また区分所有者は、建て替えが終わるまでの仮住まいの費用や、引っ越し費用も負担しなければなりません。
さらに、マンションを建て替えるためには、区分所有者および議決権の各5分の4以上の賛成が必要です。
寿命を迎えたマンションは、デベロッパーなどに売却できることがあります。
マンションを取得したデベロッパーは、建物を解体してマンションや商業用ビルを新たに建てます。
マンションの売却で得られた利益は、区分所有者で分配されるのが一般的です。
ただし、売却代金からマンションの解体費用が差し引かれるため、区分所有者が手にできる金額はさほど多くないこともあります。
また、区分所有者は新たな住居を見つける必要もあるため、寿命を迎えたマンションがデベロッパーに売却されるケースは少ないのが実情です。
区分所有者の負担で建物を解体し、更地にして売却をするという選択肢もあります。
土地の売却で得られた利益は、区分所有者であった人に分配されます。
しかし、建物の解体費用が高額になるだけでなく、新居も見つける必要があるため、こちらもあまり選択されません。
建て替えや売却、解体のどれも選択されず、マンションが寿命を迎えたあとも、そのまま放置されるケースもあります。
マンションが新築であったころから住んでいる人は、建物が寿命を迎えるころには高齢者となっており、新居探しに消極的である人も少なくありません。
また、建て替えや売却では金銭的に大きな負担が発生するため、多少の不具合があっても寿命を迎えたマンションに住み続けることを選ぶ人も多いのです。
マンションの取り壊し費用は、1戸につき200万〜1,000万円ほどかかるといわれています。
解体費用が高額になりやすいのは、仮設トイレや仮設水道などの設置費用、足場や 養生シートの設置費用、廃棄物運搬費用、作業費用などがかかるためです。
実際の解体費用は、構造や専有部分の延べ床面積、立地、アスベストの有無など、さまざまな要素で異なります。
寿命が長いマンションを購入したいのであれば、耐震性能が高くコンクリートの質も良い傾向にある新築が安心といえます。
また、新築マンションを検討するときは「住宅性能評価書」が付いているかも確認しましょう。
住宅性能評価書とは、住宅性能表示制度にもとづき、第三者機関によって評価されたマンションの性能が記載されている書類のことです。
住宅性能評価書に記載される「劣化対策等級」には、マンションの建物部分に施されている劣化対策が1〜3等級で評価されています。
各等級の水準は、以下をご覧ください。
※参考:国土交通省「評価方法基準案(劣化対策)の各等級に要求される水準の考え方」
とくに、劣化対策等級3のマンションは、長い寿命が期待できます。
検討しているマンションに住宅性能評価書が付いているのであれば、不動産会社に依頼して劣化対策等級を確認してみると良いでしょう。
マンションの平均寿命は68年ほどとされていますが、適切にメンテナンスをすれば100年以上もつともいわれています。
マンションを取り壊すためには多額の費用がかかるため、寿命を迎えてもそのままにされるケースもあります。
マンションを選ぶ際は、不動産会社にも相談し、長い寿命が期待できる物件を選ぶのがおすすめです。