マンションの固定資産税はいくら?計算方法や軽減措置などを解説
目次
管理費は、マンションの入居者が快適に暮らすために必要な、建物の維持費用や管理費用に充てる目的で徴収されます。
例えば以下のような費用は、入居者から支払われた管理費で賄われています。
管理費と修繕積立金は、集められる目的が異なります。
修繕積立金とは、建物や設備を修繕する資金を賄うために入居者から徴収される金銭です。
マンションでは、一般的に10〜15年のサイクルで「大規模修繕」が実施され、外壁や屋上、廊下などが修繕されます。
大規模修繕では、数千万ほどの費用がかかるケースも珍しくありません。
そのためあらかじめ定められた長期修繕計画にしたがって入居者から修繕積立金を集め、施工に必要な資金を準備します。
新築マンションを購入するときは、管理準備金と修繕積立基金を支払うのが一般的です。
管理準備金は、管理費と同じくマンションの管理に必要な費用を賄うために徴収されます。
新築マンションの場合、完成時点で入居者から管理費が支払われておらず、管理組合には基本的に資金がありません。
そのためマンションの購入者からまとまった金額の管理準備金を支払ってもらい、清掃用具や必要な備品の購入、火災保険の加入などの費用に充てられます。
修繕積立基金は、修繕積立金と同じく大規模修繕に備えて徴収される金銭です。
長期修繕計画を立てた当初よりも、人件費や資材の調達費用などが高騰していると、修繕積立金だけでは工事の実施に必要な資金を賄えない可能性があります。
そこでマンションの購入者から修繕積立基金を集めておき、工事費用の支払いに備えます。
国土交通省の調査によると、管理費の平均月額は1戸あたり15,956円 です。
年間では、191,472円の管理費がかかることになります。
※駐車場使用料等からの充当額を含む
一方で管理費は、マンションの戸数によって徴収される金額に違いがあります。
また状況によっては、購入当初よりも管理費が増額になる可能性があります。
国土交通省の調査によると、 マンションの管理費の平均月額は以下のとおりです。
〇総戸数別
※駐車場使用料等からの充当額を含む
調査結果をみると、マンションの総戸数が多いほど入居者が支払う管理費は安くなる傾向にあります。
ただしタワーマンションについては、戸数が多くても管理費は高いことがあります。
一般的なマンションよりも共用設備が多く、独自のサービスを実施していることも多いためです。
管理費は、入居者のすべてが同じ金額を負担するのではなく、各区分所有者の持分(部屋の専有部分の床面積の割合)が広いほど徴収される金額は高くなるのが一般的です。
国土交通省の調査によると、管理費の負担額を決める方法について「各戸の専有面積の割合に応じて算出する」と答えた管理組合の割合は85%と大半を占めています。
※出典:国土交通省の調査「平成30年度マンション総合調査」
マンションによっては、社会情勢の変化、保険料の増加などが理由で、管理費が増額になる可能性があります。
また管理費の滞納が発生していたり、マンション経営の状態があまり良くなかったりするときも増額になることがあります。
マンションを購入する際は、管理費が途中で値上がりする可能性があることに留意しておきましょう。
なお修繕積立金については、大規模修繕に必要な費用が長期修繕計画を立てた当初よりも高騰していた場合や、計画にない修繕が実施された場合などに増額になることがあります。
またマンションによっては、数年単位で修繕積立金が段階的に増額される場合もあるため、検討時によく確認しておきましょう。
管理費とあわせて支払う修繕積立金の相場はいくらなのでしょうか。
国土交通省が2018年(平成30年)に行った調査によると、修繕積立金の平均は月額11,243円/戸でした。
※出典:国土交通省「平成30年度 マンション総合調査」※使用料・専用使用料からの充当額を除く金額
またマンションの総戸数ごとに修繕積立金の平均月額をまとめると、以下のとおりです。
※出典:国土交通省「平成30年度 マンション総合調査」
総戸数ごとに修繕積立金の平均月額をみると、20戸以下が14,722円ともっとも高い結果となりました。
一方でもっとも平均月額が低かった のは、51〜75戸の9,850円です。
住宅ローンの返済計画を立てるときは、毎月の返済だけでなく管理費や修繕積立金の支払いも考慮することが大切です。
例えば借入額3,000万円、金利1.5%(固定金利)、返済期間35年、返済方法は元利均等方式(毎月の返済額を一定にする返済方法)で住宅ローンを借り入れたとしましょう。
毎月の返済額を計算すると月額91,855円となり、返済総額は約3,858万円です 。
仮に毎月の管理費が16,000円、修繕積立金が7,000円 である場合、毎月の支払額は114,855円となります。
駐車場や駐輪場も借りるとなると、支払額はさらに増えるでしょう。
35年間の支払総額については、途中で値上がりしなかったとしても、管理費が16,000円×12か月×35年=672万円、修繕積立金が7,000円×12か月×35年=294万円です。
住宅ローンの返済総額と合わせると、約3,858万円+672万円+294万円=約4,824万円となります。
管理費や修繕積立金を考慮したときとしなかったときでは、毎月の支払額や支払総額は大きく異なります。
マンションを購入するときは、管理費や修繕積立金も踏まえて、問題なく支払っていけるかを考えることが重要です。
管理費や修繕積立金を支払うことには、多くのメリットがあります。
例えばマンションが適切にメンテナンスされることで、資産価値を維持しやすくなります。マンションの資産価値が維持されれば、子どもの成長や親の介護、転職などの理由で住み替えが必要になったとき、スムーズに売却できるでしょう。
またオートロックや常駐する管理人など、戸建て住宅では導入が難しいセキュリティ性能を維持できるのは、入居者が管理費を支払っているためです。
管理費や修繕積立金は、マンションの資産価値やセキュリティ性能などを維持するために必要不可欠であるため、滞納することなく支払うことが大切です。
ランニングコストを少しでも抑えたいという思いから、管理費の安いマンションを探そうと考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
たしかに管理費が安いマンションを選ぶと、家計に余裕が出る可能性があります。
しかし安さを主な選定基準にするのは、おすすめできません。
ここではマンションを管理費の安さだけで選んではいけない理由について解説します。
投資家のあいだでは「マンションは管理を買え」と言われるほど、マンションの管理状況は資産価値に大きな影響を与えます。
マンションは、基本的に築年数の経過にともなって建物や設備が劣化していきます。
管理費が安いとマンションが充分にメンテナンスされないため、外壁や廊下などにある目立つ汚れや傷が修繕されず、資産価値が低下するかもしれません。
いくら立地が良い場所にあっても、管理が行き届いておらず適切にメンテナンスされていないマンションに住みたがる人はいないでしょう。
マンションを選ぶときは、管理費の金額から考えて管理の内容やサービス内容が妥当であるか考えると良いでしょう。
たとえ管理費が高くても、マンションの掃除やメンテナンスが適切に行われていれば、資産価値が維持され売却時に値崩れせずに済むでしょう。
資産価値を維持できれば、住み替えをするときや転居せざるを得なくなったときに、希望する価格でマンションを売却できる可能性が高まります。
またセキュリティ面にこだわるのであれば、管理人の駐在 時間が長い、警備員が常駐しているといったマンションのほうが、安心して暮らせるでしょう。
管理費の安さだけでマンションを選んではいけないとはいえ、毎月支払うお金であるため、少しでも負担を抑えたいと考えるのも無理はないでしょう。
管理費の支払いを抑えるためには、マンションの共用設備やサービスが自分自身や家族にとって必要かどうかを考えることが重要です。
ゲストルームやジムなどの設備が充実しているマンションは、管理やメンテナンスに費用がかかります。
また管理人やコンシェルジュが常駐するマンションは、人件費がかかるでしょう。
設備の維持・管理費用や人件費がかかるマンションは、管理費も割高になります。
自分自身や家族にとって余分な設備がないマンションや、管理人などが常駐しないマンションを選ぶことで、管理費を抑えられる可能性があります。
管理費や修繕積立金の支払いを滞納した場合、管理会社や管理組合から書面や口頭などで督促されます。
それでもなお支払いが滞るようであれば、訴訟や差し押さえなど法的な手段が実行されてしまい、最悪の場合マンションを差し押さえられかねません。
国土交通省の調査によると、管理費を3か月以上滞納する入居者を抱える管理組合の割合は24.8%であり、全体の約1/4を占めています。
※出典:国土交通省「平成30年度マンション総合調査結果」
滞納によって管理組合の運営に支障が出ると、管理費が値上がりしてしまい、他の入居者に迷惑をかけてしまうかもしれません。
入居者から徴収された管理費は、共用部分の水道光熱費や管理会社への委託費、管理組合の運営費などに充てられます。
一方で修繕積立金は、将来的なマンションの大規模修繕をするための資金として積み立てられます。
管理状況は、マンションの資産価値にも影響するため、管理費の金額だけで物件を選ぶのはおすすめできません。
管理体制やサービス内容などを確認したうえで、管理費の金額の妥当性を考えてマンションを選ぶことが大切です。