マンション購入の検討時は管理費も確認しよう!相場や修繕積立金との違いも解説
目次
マンション購入時の頭金とは、住宅ローンを借入れせずに、現金で支払う金額のことです。
マンションは一般的に高額であるため、多くの方が住宅ローンを借入れて購入します。
住宅ローンを借入れた場合、利息を含めて返済しなければなりません。
住宅ローンの借入が多いほど、毎月の返済額や利息額は高くなります。
頭金を多く準備すると、住宅ローン借入額が少なくなるため利息も抑えられて、返済負担を減らせるのです。
住宅ローンの一種である「フラット35」の利用者調査によると、マンション購入資金に占める手持ち資金(頭金)の割合は、以下のとおりです。
※独立行政法人 住宅金融支援機構 国際・調査部「2021年度フラット35利用者調査」
住宅購入資金のうち、およそ1〜2割の頭金を準備していることがわかります。
マンション購入時に支払う金銭には、頭金の他にも自己資金や手付金があります。
ここでは、頭金が自己資金や手付金とどのように異なるのかをみていきましょう。
頭金とは、マンション購入価格のうち住宅ローンを借り入れずに現金で払う部分のことを指します。
一方の自己資金は、頭金だけでなくマンション購入時の手数料や税金などの「諸費用」も支払うために用意する資金です。
マンション購入時の諸費用は、物件代金の3%前後が目安です。
例えばマンションの購入価格が4,000万円である場合、諸費用の目安は「4,000万円×3%=120万円」となります。
そのため、頭金が400万円である場合、自己資金は「400万円+120万円=520万円」ほど必要です。
手付金とは、売買契約の成立を明確にするための金銭です。
頭金の支払いは必須ではないのに対し、手付金の支払いは契約によっては必須となります。
マンションの売買契約を結んでから買主に引き渡されるまで、物件が完成している場合は1ヶ月ほど、未完成物件の場合は1年以上かかることもあります。
マンションが引き渡されるまでのあいだに、買主が一方的に契約をキャンセルすると、売り主は再び買い手を探さなければなりません。
反対に売主がキャンセルをすると、買主は住まいを失う可能性があります。
そこで不動産の売買契約では、買主と売主のどちらかが一方的にキャンセルをしないよう、手付金のやりとりが行われるのです。
売買契約後に買主が契約をキャンセルする場合、手付金は売主に没収されます。
売主の都合で契約をキャンセルする場合は、支払われた手付金額の2倍を買主に返還しなければなりません。
売買契約が成立し、マンションが無事に引き渡されると手付金は売買代金に充当されるのが一般的です。
頭金を多く準備するメリットは、以下の4点です。
頭金を多く準備することで、住宅ローンの借入額を減らせます。
そのため、毎月の返済額は減り、返済負担が家計を圧迫しにくくなります。
途中で返済が滞るリスクも抑えやすくなるでしょう。
また借入額を減らすことができれば、その分支払う利息額も少なくなるため、総支払額を抑えることも可能です。
ここで住宅ローンの借入額が減ると、毎月の返済額や返済総額はどれほど減るのかを、頭金の金額別シミュレーションで確認してみましょう。
試算の条件は、以下のとおりです。
試算結果は、以下のとおりです。
頭金額 | 毎月の返済額 | 返済総額 | 総支払額 |
0円 | 84,685円 | 約3,556.8万円 | 約3,556.8万円 |
300万円 | 76,217円 | 約3,201.1万円 | 約3,501.1万円 |
500万円 | 70,571円 | 約2,964.0万円 | 約3464.0万円 |
700万円 | 64,925円 | 約2,726.9万円 | 約3426.9万円 |
1,000万円 | 56,457円 | 約2,371.2万円 | 約3,371.2万円 |
試算の結果、頭金額が増えるほど、毎月の返済額や総返済額、総支払額は減っていることがわかります。
とくに頭金額が0円の場合と1,000万円の場合では、毎月の返済額は28,228円、総支払額は約185.6万円も異なる結果となりました。
住宅ローンを借入れる場合は、金融機関の審査に通過しなければなりません。
金融機関が住宅ローン審査を行うのは、ローンを借入れる人に最後まで返済できる能力があるか確認するためです。
頭金を多く準備すると、計画的にお金を貯められる人だと金融機関から判断されやすくなります。
その結果、滞納の可能性が低いと評価されて住宅ローンの融資審査に通過しやすくなるのです。
住宅ローンの種類によっては、頭金を多く準備して借入額を少なくすると、金利が下がるものもあります。
例えばフラット35の借入金利は、融資率が9割以下になると借入金利が引き下げられます。
※出典:フラット35
※借入期間は21年以上35年以下
※フラット35の借入金利は金融機関によって異なる
金利が下がると、毎月の返済額や利息額をさらに減らせます。
住宅ローンを組んだ場合、購入したマンションには「抵当権」が設定されます。
抵当権は、住宅ローンの契約者が返済を長期間にわたって滞納したときに、金融機関が物件を差し押さえることができる権利です。
マンションの売却時は、ローンの残りをすべて返済して抵当権を外す必要があります。
頭金を多く準備して借入額を減らすことで、マンションの売却時にローンの残りを完済しやすくなります。
「転勤が決まった」「親の介護に専念することになった」などの理由で、将来的に転居することになったときに、マンションを売却するという選択をしやすくなるでしょう。
頭金を多く準備する主なデメリットは、以下の2点です。
住宅購入価格の1〜2割の頭金を準備する場合、一般的に数百万円ほど準備しなければなりません。
貯蓄が少ない状態だと、頭金の準備に長い期間を要する可能性があります。
頭金の準備に時間がかかり住宅ローンの借入が遅れると、勤務先を定年退職したあとも住宅ローンの返済を継続しなければならないかもしれません。
退職後は主な収入源が給与から年金へと変わるケースが多いため、一般的に毎月の収入が低下します。
そのため老後生活においては、住宅ローンの返済負担が家計を圧迫しやすくなるでしょう。
頭金を支払ったことで貯蓄が減ってしまうと、子どもの進学や家族の病気・ケガなど、出費が必要となった場合に、対処できない可能性が高まります。
住宅を購入するために頭金を貯める場合は、今後のライフイベントを考えたうえで資金計画を立てることが大切です。
頭金は「不動産売買契約の締結後〜マンションの引渡し」までのあいだに支払うのが一般的です。
頭金を支払うときは、自分自身の金融機関口座から住宅ローンを融資する金融機関の口座に振り込みます。
振込む金額は、売買契約時に支払った手付金からマンション購入時の諸費用と頭金を差しひいた残りです。
例えば、手付金額が300万円、諸費用が150万円、頭金が200万円である場合、振り込む金額は以下の通りです。
振込額=(諸費用+頭金)−手付金
=(150万円+200万円)−300万円
=50万円
またマンションが引き渡される当日に頭金を支払うケースもあります。
その場合、金融機関から融資をしてもらう金額と頭金で物件価格のすべてを支払うと、マンションが引き渡されます。
マンション購入時の頭金を決めるときは「住宅ローン控除」や「繰り上げ返済」も考慮しましょう。
住宅ローン控除とは、所定の要件を満たすと年末時点の住宅ローン残高に応じた一定金額を、所得税から控除できる制度のことです。
控除を受けられる期間は、最長10年または13年です。
頭金を多く準備すると住宅ローンの借入額が減るため、住宅ローン控除による節税効果も減少してしまいます。
そこで、頭金を少なくして借入額を多くし、住宅ローン控除を受けられる期間が終わったあとに繰り上げ返済をするのも1つの方法です。
また現在は、住宅ローン金利が低水準となっています。
このため、頭金が貯まるのを待つのではなく、金利が低いうちに住宅ローンを組み、繰り上げ返済資金を貯蓄していく方法もあります。
頭金をまったく準備しなくても、住宅ローンは組めます。
ひと昔前の住宅ローンは「融資額は住宅価格の8割まで」のような条件があったため、基本的に頭金の準備が必要でした。
しかし2023年現在は、住宅価格のすべてを借入れできる金融機関も珍しくありません。
また金融機関によっては、仲介手数料をはじめとした住宅購入時の諸費用をローンに含めることも可能です。
ただし諸費用込みのローンは、返済負担や利息が大きくなる、審査が厳しくなる、などのデメリットもあるため慎重に判断しましょう。
頭金なしで住宅ローンを組むと、毎月の返済負担が重くなるため、最後まで返済できるかを確認することが大切です。
住宅の購入後は、転職や退職、子どもの進学などさまざまなライフイベントの影響を受けて家計の収支が変動するのが一般的です。
ライフプランを練ると同時に返済シミュレーションをして、収支に変動があっても返済を継続できるのかを確認しましょう。
また印紙税や登記費用、仲介手数料など購入時の諸費用は現金で支払うのが一般的です。
諸費用額は、マンション購入価格の3〜6%程度といわれています。
頭金0円で住宅ローンを組むとしても、諸費用は現金で支払えるように資金を準備しておくと良いでしょう。
頭金を準備してマンションを購入すると、住宅ローンの借入額が減って返済負担を軽減できます。
また「住宅ローンの借入審査に通過しやすくなる」「金利が引き下げられる場合がある」なども、頭金を多く準備するメリットです。
一方で、頭金の準備に時間がかかると、老後生活に入り収入が低下したあとも住宅ローンの返済が必要となる場合があります。
転職や子どもの進学などのライフイベント発生時に、資金が不足しやすくなるのも、頭金を多く支払う場合のデメリットです。
マンション購入時に頭金を支払う場合は、今後のライフプランを入念に練ったうえで、堅実な資金計画を立てましょう。