マンション購入の検討時は管理費も確認しよう!相場や修繕積立金との違いも解説
目次
マンションの維持費には、管理費や修繕積立金、税金、保険料などがあります。主な維持費は以下の一覧表をご覧ください。
概要 | |
管理費 | 共用部分の日常的な維持管理に使われる費用 |
修繕積立金 | 将来の大規模修繕のために積み立てられる金銭 |
固定資産税・都市計画税 | 不動産の所有者に課される税金(都市計画税は市街化区域内にマンションがある場合に課税) |
火災保険料・地震保険料 | 火災保険や地震保険に加入する際に支払う保険料 |
駐車場代・駐輪場代 | マンション敷地内の駐車場や駐輪場の使用料 |
専用庭・ルーフバルコニー使用料 | 専用使用権のある共用部分を利用する場合の費用 |
管理費は、マンションの共用部分の日常的な維持・管理のために支払う費用です。
管理費から賄われる維持管理コストには、共用部分の清掃費や光熱費、エレベーターの保守点検費用、管理人やコンシェルジュの人件費などがあります。
マンションの管理を管理会社に委託している場合の管理委託料についても管理費から賄われます。
修繕積立金は、12〜15年周期で実施される大規模修繕に備えて、マンションの区分所有者が積み立てるお金のことです。
マンションは経年によって劣化するため、外壁の補修や屋上の防水工事、給排水管の交換などの定期的なメンテナンスが欠かせません。
しかし、こうしたマンションの主要部分の修繕・メンテナンスをするための費用は、数千万円あるいは数億円と非常に高額となります。
そこで、マンションごとに定められる「長期修繕計画」にしたがって将来の大規模修繕を実施するための資金を積み立てるのが一般的です。
固定資産税と都市計画税は、毎年1月1日時点の不動産所有者に対して、その不動産が所在する市町村が課税する税金です。
マンションが市街化区域にある場合は、都市計画税もあわせて課税されます。
固定資産税と都市計画税を支払う時期は、市区町村によって異なりますが、4~6月ごろに送付されてくる納付書をもとに年4回に分けて納めるのが一般的です。
1年分をまとめて納めることも可能です。
火災保険は、火災や自然災害によってマンションの専有部分や家財(家具・家電・衣服など)が受けた損害を補償する保険です。
多くの金融機関では、火災保険への加入を住宅ローンの融資条件の1つとしています。
地震保険は、火災保険の補償対象外である地震や噴火、それらによる津波を原因とする火災や建物の倒壊などの損害を補償します。
火災保険や地震保険に加入する際は、建物の構造や補償内容などに応じた保険料を支払う必要があります。
駐車場代・駐輪場代は、マンションの敷地内にある駐車場や駐輪場を利用する場合に、毎月支払う使用料です。
使用料は、周辺の相場や形式(平面式、機械式)などによって異なります。
専用庭やルーフバルコニーは、特定の住戸の居住者が利用できる共用部分です。
専用庭は、通常1階の住戸に設けられています。ルーフバルコニーは、専用の屋根がなく通常より広いバルコニーであり、角部屋や最上階の住戸に設置されることが多いです。
専用庭やルーフバルコニーを利用する際は、一定の使用料がかかります。
マンション購入後にほとんどの人が支払う維持費は「管理費」と「修繕積立金」です。
ここでは、国土交通省が発表する「令和5年度マンション総合調査」をもとに管理費と修繕積立金の平均額を解説します。
国土交通省の調査によると、1戸あたりの管理費の全国平均は月額11,503円です。
これは、駐車場使用料などの収入を管理費に充当した分を差し引いた、居住者が実際に負担している金額の平均値です。
マンションの戸数別に管理費の平均額を見ると、結果は以下のとおりでした。
総戸数規模 | 平均管理費(円) |
20戸以下 | 14,282 |
21~30戸 | 13,948 |
31~50戸 | 11,682 |
51~75戸 | 10,934 |
76~100戸 | 10,155 |
101~150戸 | 11,183 |
151~200戸 | 9,540 |
201~300戸 | 10,298 |
301~500戸 | 10,002 |
501戸以上 | 12,929 |
※出典:国土交通省「令和5年度マンション総合調査(令和6年6月21日公表)」
管理費の平均額がもっとも高いのは総戸数20戸以下のマンションであり、もっとも安いのは151~200戸という結果でした。
1戸あたりの修繕積立金の全国平均は、駐車場使用料などからの充当額を除くと月額で13,054円でした。
総戸数別の平均額は以下のとおりです。
総戸数規模 | 平均修繕積立金(円) |
20戸以下 | 15,569 |
21~30戸 | 14,207 |
31~50戸 | 13,201 |
51~75戸 | 12,902 |
76~100戸 | 12,868 |
101~150戸 | 12,213 |
151~200戸 | 11,875 |
201~300戸 | 11,687 |
301~500戸 | 11,898 |
501戸以上 | 13,131 |
※出典:国土交通省「令和5年度マンション総合調査(令和6年6月21日公表)」
修繕積立金の平均額がもっとも高いのは、管理費と同様に総戸数20戸以下のマンションである一方、もっとも安いのは201~300戸となっています。
完成年次別に修繕積立金の平均額をみると、結果は以下のとおりとなります。
※出典:国土交通省「令和5年度マンション総合調査(令和6年6月21日公表)」
築年数が浅いマンションは、修繕積立金が安い傾向にあることが見て取れます。これは、築年数の経過とともに修繕積立金が値上げされる場合もあるためです。
修繕積立金額の積立方式には、毎月の積立額が一定の「均等積立方式」と、年数の経過とともに金額が上がっていく「段階増額積立方式」があります。
段階増額積立方式の場合、新築時に修繕積立金が安く設定されていても、将来的に値上げされる可能性があるため、購入前に長期修繕計画をよく確認することが重要です。
ンションと戸建てでは維持費の内訳が異なります。主な違いは以下のとおりです。
戸建て | マンション | |
管理費 | × | 〇 |
修繕積立金 | × | 〇 |
駐車場代 | △※1 | 〇 |
駐輪場代 | × | 〇 |
固定資産税・都市計画税 | 〇 | 〇 |
火災保険料・地震保険料 | 〇 | 〇 |
専用庭・ルーフバルコニーの使用料 | × | 〇 |
※1:敷地内に駐車場がある場合は不要。月極駐車場などを別途借りる場合は支払いが必要
戸建て住宅は、管理費や修繕積立金などがかからないため、一見するとマンションよりも維持費は安く済むように思われます。
しかし、戸建て住宅は外壁の塗り替えや屋根の修繕などの費用は自己負担です。一度に数百万円の費用がかかることもあるため、計画的に準備する必要があります。
また、庭の手入れや敷地内駐車場の清掃なども所有者自身が費用を捻出して行う必要があるため、戸建て住宅の維持費がマンションよりも必ずしも安いとは限りません。
マンションの維持費の支払いがきついと感じるときは、早めに対処することが重要です。主な対処方法は以下のとおりです。
火災保険の保険料は、補償内容や契約先の保険会社などで異なります。
例えば、保険金額(保険金の支払上限額)が物件や所有する家財の価値に対して過大になっている場合は、減額により保険料を削減することが可能です。
また、不要な特約を解約したり、複数の保険会社から見積もりを取って比較したりすることで、保険料を減らせる可能性があります。
家計全体の収支を見直すことも検討しましょう。毎月の収入と支出を正確に把握し、無駄を洗い出して削減することで、家計に余裕が生まれ維持費が支払いやすくなります。
とくに優先的に見直しをしたいのが「固定費」です。
通信費や光熱費、サブスクリプションサービスの利用料などは、1度見直しをすると継続的に家計の負担を減らす効果が期待できます。
より金利が低い住宅ローンに借り換えることで、毎月の返済額が減り、維持費を支払いやすくなる可能性があります。
ただし、借り換えには登記費用や事務手数料などの諸費用がかかります。
借り換えを検討する際は、諸費用も考慮したうえで総合的に金銭的なメリットがあるかどうかをシミュレーションで確認することが大切です。
マンションを購入したあとは、管理費や修繕積立金、駐車場代・駐輪場代、固定資産税・都市計画税、火災保険料・地震保険料などの維持費を支払う必要があります。
また、修繕積立金は築年数の経過に応じて段階的に値上げされる場合があります。
新築マンションを購入する際は、住宅ローンの返済額に維持費を含めた総額が毎月いくらになるのかを把握し、無理なく支払い続けられるかを慎重に判断することが大切です。