新築マンション購入時に受けられる住宅ローン控除とは?要件や申請方法も解説
目次
住宅の購入価格は、一般的に年収の5倍が目安といわれています。
では実際にマンションを購入した方は、年収の何倍程度の物件を選んでいるのでしょうか?
東京カンテイの調査によると、2019年の新築マンション価格と中古マンション価格それぞれの年収倍率は以下のとおりです。
※出典:東京カンテイ「新築マンション年収倍率/築10年中古マンション年収倍率」
※数値は全国平均
築10年の中古マンションの価格は、平均年収の5倍である一方、新築マンション価格は約8倍です。
また同調査によると、関東圏(東京都・千葉県など)の年収倍率は、新築マンション価格が10.69倍、築10年の中古マンション価格が7.63倍となっています。
「住宅の購入価格は、年収の5倍が目安」といわれていたのは、ひと昔前の住宅ローン金利が3%を超えていたころです。
2022年現在 は、住宅ローンの借入金利が1%未満と低い水準で推移しているだけでなく、マンションの価格は年々高くなっています。
首都圏をはじめとした都市部においては、年収倍率7~10倍のマンションの購入が一般的といえるでしょう。
マンション購入価格の年収倍率は、築年数やエリアによって大きく異なります。
購入する予定のエリアにおけるマンション価格が、平均年収の何倍なのかを調べることは、住宅購入の予算を立てる際の指標の1つとなります。
住宅ローンを借り入れてマンションを購入する場合、頭金と借入可能額を足した金額が予算となります。
マンションを購入するときは、いくらの頭金を準備でき、いくらの住宅ローンを借り入れられるのかを考えましょう。
頭金は、マンション購入代金のうち自己資金で支払う部分を指します。
頭金を多く支払えると、住宅ローンの借入額を減らせるため、マンション購入後の返済負担を減らせます。
しかし貯蓄の大半を頭金に充ててしまうと、病気や退職などで収入が減ってしまったときに生活が苦しくなるかもしれません。
マンション購入後の生活のことも考えて、頭金の金額を決めることが大切です。
また貯蓄に加えて親族からの資金援助で頭金を準備するのも方法です。
借入可能額は、金融機関から融資してもらえる金額のことです。
住宅ローンを借り入れるときは、金融機関の審査に通過しなければなりません。
審査の結果次第では、希望する金額の融資を受けられないことがあります。
住宅ローンの審査では、借り入れる人の年収や勤続年数、完済時の年齢などが確認されます。
また「返済負担率」も重要な審査基準の1つです。
住宅ローンの借入可能額を考えるときは、返済負担率の計算方法や適正値を知っておくことが重要です。
返済負担率とは、年収のうち住宅ローンを含む借入の返済に充てられている割合です。
銀行や信用金庫などの金融機関は、住宅ローンの審査をするときに、返済負担率が規定の範囲内であるかを確認しています。
例えば、全期間固定金利型住宅ローン「フラット35」は、返済負担率を以下の値に設定して審査をしています。
※出典:「フラット35」
仮に年収が500万円であった場合、年間の返済額が合計で140万円(月額約11.6万円)以下でなければ、フラット35の審査に通過できません。
返済負担率の計算では、住宅ローンの返済だけでなく「自動車ローン」や「教育ローン」など、他の借入も含まれます。
借入から完済まで金利が変わらない「全期間固定金利型」の住宅ローンは、返済負担率20〜25%を目安に借り入れるとよいでしょう。
金融機関は返済負担率が30%や35%であっても、融資を承認してくれる可能性があります。
しかし借入当時は、返済負担率35%で問題なくても「転職して収入が減った」「子どもが進学して教育費が高くなってきた」などの理由で、返済が厳しくなる場合もあるのです。
金融機関が貸してくれる金額と、ご自身が返していける金額は異なります。
実際に住宅ローンを借り入れる場合は、家計の支出が増加したときを想定して、返済負担率25%以下を目安に借入額を決めましょう。
変動金利は、返済期間中に市場の状況に応じて金利が変わる一方、低金利が魅力です。
2022年9月 現在における借入時の金利は、全期間固定金利が1%強であるのに対し、変動金利は、おおむね0.3%後半〜0.5%程度 です。
変動金利で住宅ローンを借り入れる場合、返済負担率15〜20%を目安にしましょう。
変動金利型の住宅ローンは、2022年現在 における借入時の金利で考えて、返済負担率が25%を超えるような借り入れは困難です。
変動金利の場合、返済期間中に金利が上昇しても返済できる能力があるか審査されます。
そのため金融機関は、借入金利よりも高い3.1〜4.0%程度に金利を設定して審査をするのです。
また変動金利には、借入後に金利が上昇するリスクがあります。
変動金利で住宅ローンを組む際は、家計の支出増加に加えて、金利が上昇したときに返済が困難とならないよう、返済負担率を15〜20%に抑えるとよいでしょう。
ここでは年収と返済負担率別に、マンションの購入価格をシミュレーションします。
条件は以下のとおりです。
※住宅ローン以外の借入はないものとします。
年収400万円である場合、マンション購入価格は以下のとおりです。
購入できるマンションの価格 | |
返済負担率15% | 1,970万円
(借入額1,670万円+頭金300万円) |
返済負担率20% | 2,530万円
(借入額2,270万円+頭金300万円) |
返済負担率25% | 3,080万円
(借入額2,780万円+頭金300万円) |
返済負担率35% | 4,200万円
(借入額3,900万円+頭金300万円) |
年収が500万円になると、返済負担率ごとのマンション購入価格は以下のように変化します。
購入できるマンションの価格 | |
返済負担率15% | 2,390万円
(借入額2,090万円+頭金300万円) |
返済負担率20% | 3,180万円
(借入額2,780万円+頭金300万円) |
返済負担率25% | 3,780万円
(借入額3,480万円+頭金300万円) |
返済負担率35% | 5,170万円
(借入額4,870万円+頭金300万円) |
年収600万円になると、以下のとおり最大で6,000万円以上の物件を購入できます。
購入できるマンションの価格 | |
返済負担率15% | 2,800万円
(借入額2,500万円+頭金300万円) |
返済負担率20% | 3,640万円
(借入額3,340万円+頭金300万円) |
返済負担率25% | 4,480万円
(借入額4,180万円+頭金300万円) |
返済負担率35% | 6,150万円
(借入額5,850万円+頭金300万円) |
このようにマンションの購入価格を決める際は、ご自身の年収と返済負担率をもとに借入金額の目安を計算し、現実的な返済計画を立てましょう。
ここでマンションを購入する人の世帯年収と年齢の平均をみていきましょう。
国土交通省の調査をもとに、全体平均だけでなく初めてマンションを購入した世帯(一次取得者)と、住み替えなどで購入した世帯(二次取得者)の平均値もご紹介します。
国土交通省の調査によると、分譲マンションを購入した人の平均年収は、以下のとおりです。
※出典:国土交通省「令和3年度住宅市場動向調査報告書」
分譲マンションを購入した世帯の平均世帯年収は、912万円という結果でした。
一方で初めてマンションを購入した世帯(一次取得)の平均世帯年収は、852万円となっています。
また同調査によると、一時取得者の28.0%が世帯年収600万〜800万円未満です。
続いて分譲マンションを購入した世帯における世帯主の平均年齢をみていきましょう。
※出典:国土交通省「令和3年度住宅市場動向調査報告書」
分譲マンションを購入した世帯主の平均年齢は44.3歳でしたが、一次取得者は平均39.5歳、二次取得者は56.7歳と大きな差があります。
内訳をみると、世帯主の年齢が30歳代である世帯が占める割合は、全体では38.2%であるのに対し、一次取得者では50.5%となっています。
マンションの購入時には、さまざまな費用を支払う必要があります。
ここでは、マンションの購入時に支払う諸費用の種類や金額について解説します。
マンションを購入するときは、以下のような税金や手数料が発生します。
仲介手数料が発生するのは、主に中古マンションを購入するときです。
新築マンションは、売主が直接販売をしていることが多いため、仲介手数料が発生するケースはほとんどありません。
住宅ローンを借り入れる場合、以下の費用を別途支払う必要があります。
事務手数料や保証料の金額は、住宅ローンを借り入れる金融機関によって異なります。
住宅ローンを組む場合、基本的に火災保険に加入する必要があるため、保険料の支払いが発生します。
火災保険への加入を、住宅ローンの融資条件としている金融機関がほとんどだからです。
マンション購入時の諸費用の目安は、総額で物件代金の約3%前後が目安です
そのためこれらの諸費用の支払いも含めて、堅実な資金計画を立てることが重要になります。
マンションの購入後は、住宅ローンの返済と合わせて、以下の費用の支払いが発生します。
マンションを購入する際は、住宅ローンの返済額だけでなく、管理費や修繕積立金、固定資産税などの金額を把握し、家計にとって大きな負担とならないか確認しましょう。
【マンション購入にかかる費用を徹底解説!諸費用の内訳や目安はどれくらい?】
無理をして住宅ローンを借り入れると「思わぬ出費に対応できなくなる」「金利の変動に対応できなくなる」といったリスクを負うことになります。
マンションを購入したあとも、年収や生活費が同じであるとは限りません。
例えば病気やリストラ、配偶者の離職などの理由で世帯収入が低下することがあります。
また子どもが成長することで、毎月の生活費や教育費が増えることもあるでしょう。
無理をして住宅ローンを借り入れると、世帯年収が減ってしまったり支出が増えたりしたときに、対応ができなくなり生活が苦しくなるかもしれません。
住宅ローンを滞納すると、いずれは金融機関に差し押さえられて強制的に売却されてしまい、せっかく購入したマンションを失う可能性があります。
住宅ローンの返済計画を立てるときは、購入後の生活で収入や支出に変動があっても返済を継続できるかどうかを考えましょう。
変動金利を選んだ場合、無理をして住宅ローンを組むと金利が上昇した場合に 、返済負担が増えてしまい家計を圧迫することがあります。
将来のことは誰にもわからないため、完済まで金利が変動しない可能性もあるでしょう。
しかし金利が上昇しないとも言い切れません。
変動金利で借り入れをするときは、たとえ金利が上昇しても返済負担が家計を圧迫しない金額であるかを検討することが大切です。
また金利が上昇したときに、繰り上げ返済によって残高を減らして返済負担の増加を抑えるための資金を準備するのが望ましいです。
ご自身にとって適切なマンションの価格を考える際は、年収倍率に加えて返済負担率が何%なのかを計算するとよいでしょう。
またマンションの購入時には「不動産取得税」や「登記費用」、住宅ローンを組む場合は「事務手数料」や「保証料」などの支払いも必要です。
さらにマンション購入後は「管理費」や「修繕積立金」などを支払わなければなりません。
マンションの価格だけでなく、マンションを購入・所有した際に発生する費用も含めて資金計画を立てることが大切です。