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2022/06/292023/03/13

新築マンション購入時に受けられる住宅ローン控除とは?要件や申請方法も解説

写真:新築マンション購入時に受けられる住宅ローン控除とは?要件や申請方法も解説
住宅ローンを組んで新築マンションを購入すると「住宅ローン控除」の対象になり所得税や一部住民税の減税を一定期間にわたって受けられます。

住宅ローン控除を利用するためには、所定の要件を満たしたうえで申請が必要です。
本記事では、新築マンション購入時の住宅ローン控除についてわかりやすく解説します。

新築マンションを購入したときの住宅ローン控除

まずは新築マンションを購入したときに受けられる、住宅ローン控除の制度内容を見ていきましょう。

なおここでご紹介するのは、2022年1月から2025年末までに購入したマンションへ入居するときの住宅ローン控除の内容です。

 

年末残高の0.7%が控除される

住宅ローン控除では、年末時点の借入残高×0.7%が所得税と一部住民税から控除されます。

例えば年末残高が4,000万円であった場合、控除額は4,000万円×0.7%=28万円です。

控除額は、まず所得税から差し引かれます。

余りが生じたときは、一定金額を限度に住民税から控除される仕組みです。

住民税から控除される金額の上限は「所得税の課税所得の5%」または「97,500円」のどちらか低いほうです。

 

控除期間は最長13年

住宅ローン控除を受けられる期間は、以下のとおりです。

  2022〜2023年に入居 2024〜2025年に入居
新築・買取再販住宅

(認定住宅等)

13年
新築・買取再販住宅

(その他)

13年 10年
既存住宅 10年

※2023年(令和5年)末までに新築の建築確認を受けた場合に限る

新築マンションや不動産会社が買い取って再販をしているマンションを購入したときは、控除期間は最長13年となります。

一方で売主が個人である中古マンションを購入した場合、控除期間は最長10年です。

また新築マンションであっても、省エネ性能が一定の基準を満たしていない物件に、2024年1月以降に入居すると控除期間は10年となります。

また2023年(令和5年)末までに新築の建築確認を受けていない場合、2024年以降に一定の省エネ性能がない物件に入居しても住宅ローン控除を受けられません。

 

借入限度額はマンションの環境性能で決まる

住宅ローン控除の対象となる借入額は、以下のとおり購入したマンションの環境性能に応じて異なります。

これを超える金額は控除の対象外です。

〇新築住宅・買取再販の借入限度額

  2022〜2023年に入居 2024〜2025年に入居
認定長期優良住宅

認定低炭素住宅

5,000万円 4,500万円
ZEH水準省エネ住宅 4,500万円 3,500万円
省エネ基準適合住宅 4,000万円 3,000万円
その他の住宅 3,000万円 0円

※2023年までに新築の建築確認がされていた場合は2,000万円

 

省エネ性能やバリアフリー性能などが一定の基準を満たす「認定長期優良住宅」や、二酸化炭素の排出を抑える対策が施された「認定低炭素住宅」を購入したときは、最大5,000万円まで住宅ローン控除の対象となります。

また断熱性能や一次エネルギー消費量が一定の基準を満たしており「ZEH水準省エネ住宅」や「省エネ基準適合住宅」に認定されると、より多くの借入額が制度の対象となります。

一方で「その他の住宅」については、2023年までに新築の建築確認が済んでいない場合、2024年以降に入居すると住宅ローン控除を受けられません。

なお中古マンションの借入限度額は、認定長期優良住宅や認定低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅などが3,000万円、その他の住宅が2,000万円となります。

住宅ローン控除の最大控除額

住宅ローン控除の最大控除額は「1年あたりの控除上限額×控除期間」で計算できます。

1年あたりの控除上限額は、以下のとおりです。

〇新築住宅・買取再販の控除額の年間上限額(借入限度額×控除率)

  2022〜2023年に入居 2024〜2025年に入居
長期優良住宅・低炭素住宅 5,000万円×0.7%=35.0万円 4,500万円×0.7%=31.5万円
ZEH水準省エネ住宅 4,500万円×0.7%=31.5万円 3,500万円×0.7%=24.5万円
省エネ基準適合住宅 4,000万円×0.7%=28.0万円 3,000万円×0.7%=21.0万円
その他の住宅 3,000万円×0.7%=21.0万円 2,000万円×0.7%=14.0万円

※2023年までに新築の建築確認がされていた場合のみ

〇既存住宅の控除額の年間上限額(借入限度額×控除率)

  2022〜2025年に入居
長期優良住宅・低炭素住宅

ZEH水準省エネ住宅

省エネ基準適合住宅

3,000万円×0.7%=21万円
その他の住宅 2,000万円×0.7%=14万円

 

1年あたりの控除上限額をもとに、住宅ローン控除の最大控除額を計算すると、結果は次のとおりとなります。

〇新築住宅・買取再販の控除額の上限(1年あたりの控除上限額×控除期間)

  2022〜2023年に入居 2024〜2025年に入居
長期優良住宅・低炭素住宅 35.0万円×13年=455.0万円 31.5万円×13年=409.5万円
ZEH水準省エネ住宅 31.5万円×13年=409.5万円 24.5万円×13年=318.5万円
省エネ基準適合住宅 28.0万円×13年=364.0万円 21.0万円×13年=273.0万円
その他の住宅 21.0万円×13年=273.0万円 14.0万円×10年=140.0万円※

※2023年末までに新築の建築確認がされていた場合のみ

〇既存住宅の控除額の上限(1年あたりの控除上限額×控除期間)

  2022〜2025年に入居
長期優良住宅・低炭素住宅

ZEH水準省エネ住宅

省エネ基準適合住宅

21万円×10年=210万円
その他の住宅 14万円×10年=140万円

住宅ローン控除の対象となる要件

次に住宅ローン控除の対象になる要件を解説します。

借り入れる人の要件

借り入れる人やローンの主な要件は、以下のとおりです。

  • 新築または取得日より6か月以内に居住している
  • 各年の12月31日まで継続して居住している(死亡したときはその日まで)
  • 2以上の住宅を所有している場合には、主として居住の用に供すると認められる住宅である
  • 住宅ローン控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下※
  • 10年以上にわたり分割して返済する方法になっている新築または取得のための一定の借入金または債務(住宅とともに取得するその住宅のように供される土地等の取得のための借入金等を含みます。)があること
  • 居住年およびその前2年の計3年間に次に掲げる譲渡所得の課税の特例の適用を受けていない
    • 居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法31の3①)
    • 居住用財産の譲渡所得の特別控除(措法35①)

※被相続人の居住用財産の譲渡所得の特別控除(措法35③)により適用する場合を除く

  • 特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法36の2)
  • 財産を交換した場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法36の5)
  • 既存市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例(措法37の5)
  • 居住年の翌年以後3年以内に居住した住宅(住宅の敷地を含む)以外の一定の資産を譲渡し、当該譲渡について上記4に掲げる譲渡所得の課税の特例を受けていない

※一定の資産を譲渡したことにより上記4に掲げるいずれかの特例の適用を受ける場合において、その資産を譲渡した年の前3年分の所得税について住宅借入金等特別控除を受けているときは、当該譲渡をした日の属する年分の所得税の確定申告期限までにその前3年分の所得税について修正申告書または期限後申告書を提出し、かつ、当該確定申告期限までに当該修正申告書または期限後申告書の提出により納付すべき税額を納付しなければならない

※2022年1月以降は、住宅ローン控除の所得要件が3,000万円以下から2,000万円以下に引き下げられました。

住宅ローン控除の対象となる借入金は、銀行をはじめとした金融機関から借り入れた住宅ローンや勤務先の社内融資などが対象です。

 

購入する住宅の要件

新築マンション購入時の住宅ローン控除の要件は、以下のとおりです。

  • 登記簿に記載の床面積が50㎡以上ある

※不動産登記簿に表示されている床面積で判定

※年間の合計所得金額が1,000万円以下であり、2023年までに建築確認が済んでいるときは40㎡以上

  • 床面積の1/2以上の部分が居住用であること

新築住宅の場合、住宅ローンを組んで購入する人の年間合計所得金額が1,000万円以下であり、2023年までに建築確認が済んでいれば、床面積が40㎡以上50㎡未満でも住宅ローン控除の対象になります。

なお中古住宅を購入したときや増改築をしたときも住宅ローン控除の対象となりますが、新築住宅とは一部の要件が異なります。

 

住宅ローン控除は確定申告で申請する

初年度は確定申告が必要

住宅ローン控除を受けるためには、必ず確定申告をしなければなりません。

会社員や公務員は、勤務先が従業員の給与から所得税を源泉徴収し、年末調整での精算を経て税務署に納めてくれているため、基本的に確定申告は不要です。

しかしマンション購入後、初めて住宅ローン控除を受けるときは、確定申告が必要です。

ここでは確定申告時の必要書類や、提出方法を解説します。

確定申告時の必要書類

確定申告の際に作成する書類は、以下の2点です。

  • 確定申告書
  • (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書

申告書類を作成するときは、国税庁のホームページからアクセスできる「確定申告書等作成コーナー」の利用が便利です。

確定申告書等作成コーナーでは、画面の表示にしたがって金額などを入力すると、税額や控除額が自動計算され、それが反映された申告書類を作成できます。

また住宅ローン控除を申請する際は「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」「住宅の登記事項証明書」「本人確認書類」などの添付が必要です。

本人確認書類は、以下の1と2のいずれかです。

  1. マイナンバーカード
  2. マイナンバーが記載された書類(通知カード、住民票など)+身元確認書類(運転免許証やパスポートなど)

確定申告書類の提出方法

確定申告書類は、お住まいの住所を管轄する税務署へ提出します。

提出方法は、以下の3種類です。

  • 税務署に直接持参する
  • 郵便または信書便で税務署へ郵送する
  • e-Taxで電子申告をする

e-Taxであれば、インターネット環境とパソコンやスマートフォンがあれば、税務署に行くことなく確定申告が可能です。

確定申告の期間は、例年2月16日〜3月15日です。

期間内に申告を終えられるよう、余裕をもって準備をはじめましょう。

2年目以降は年末調整でも可能

1年目の住宅ローン控除の深刻を確定申告で行うと、後日税務署から「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書兼(特定増改築等)住宅借入金等特別控除計算明細書(以下、住宅借入金等特別控除申告書)」が送られてきます。

2年目以降は、年末調整で住宅ローン控除の申請が可能です。

年末調整で住宅ローン控除を申請するときは、住宅借入金等特別控除申告書を記入し、金融機関から送付される年末残高等証明書を添付して勤務先に提出します。

年末調整の手続き期間は勤務先によって異なりますが、一般的には10〜11月ごろです。

また年末調整に必要な書類を書面で提出するケースもあれば、勤務先が指定するシステムに入力するケースもあります。

年末調整で住宅ローン控除を申請するときは、申請期間や申請方法を事前に確認しておくと良いでしょう。

 

マンション購入時の住宅ローン控除の注意点

新築マンションの購入時に住宅ローン控除を受けるときは、以下の2点に注意が必要です。

  • 住宅ローンの種類によって取り扱いが異なる
  • 借り換えをしても控除期間は延長されない

住宅ローンの種類によって取り扱いが異なる

住宅ローンの借り方によって、住宅ローン控除の限度額が変わります。

2人以上の債務者が複数の住宅ローンを契約する「ペアローン」では、債務者1人ひとりが住宅ローン控除の申請が可能です。

連帯債務では、主たる債務者と連帯債務者のどちらも控除を受けられます。

控除の対象となる金額は、それぞれの持分割合や住宅ローンの返済負担割合に応じて決まります。

一方で債務者のほかに連帯保証人が設定された住宅ローンの場合、住宅ローン控除を利用できるのは主債務者である人のみです。

連帯保証人は、住宅ローン控除は利用できません。

借り換えをしても控除期間は延長されない

住宅ローン控除を受けているあいだに住宅ローンを借り換えても、控除期間は延長されません。

例えば、すでに6年間住宅ローン控除を受けているとしましょう。

住宅ローンの借り換えによって返済期間が2年延長されたとしても、住宅ローンを受けられる期間は、残り4年のままです。

また借り換えによって、住宅ローンの返済期間が延長できるケースは非常に限られます。

 

住宅ローン控除を受けられないケース

住宅ローンを組んでマイホームを購入したとしても、住宅ローン控除の対象にならないケースがあります。

ここでは住宅ローン控除を受けられない代表的な事例をみていきましょう。

住宅ローンの返済期間が10年未満

住宅ローン控除を受けるためには「10年以上にわたり分割して返済する方法になっている新築または取得のための一定の借入金または債務」を借り入れている必要があります。

そのため返済期間が10年未満である借り入れをすると、住宅ローン控除は受けられません。

また返済が進んだり期間短縮型の繰り上げ返済をしたりした結果、返済期間の残りが10年未満になると、住宅ローン控除は受けられなくなります。

年間の合計所得金額が2,000万円を超えている

住宅ローンを組んだ人の年間の合計所得金額が2,000万円を超えると、住宅ローン控除の対象になりません。

床面積が40㎡以上50㎡未満である場合、年間の合計所得金額が1,000万円を超えると住宅ローン控除を受けられなくなります。

また、住宅ローン控除を受けている期間中に、年間の合計所得金額が2,000万円(床面積が40㎡以上50㎡未満の場合は1,000万円)を超えた年については、控除の対象外となります。

住宅の床面積が50㎡(または40㎡)未満

取得するマイホームの登記簿上の床面積が50㎡未満であると、住宅ローン控除は受けられません。

年間の合計所得金額が1,000万円以下である場合は、登記簿上の床面積が40㎡未満であると対象外になります。

マンションのパンフレットやチラシには、基本的に壁の中心から測定した床面積が掲載されています。

それに対し、登記簿に記載されているのは壁の室内側の線を基準に測った床面積です。

登記簿に記載される床面積は、パンフレットやチラシに記載される床面積よりも基本的には狭くなります。

そのため、パンフレットやチラシなどに記載されている床面積が50㎡以上であっても、登記簿上では50㎡未満となり住宅ローン控除の対象外になることがあるため注意しましょう。

住宅に住まなくなった

住宅ローン控除を受けるためには、住宅の所有者自らが居住していなければなりません。

そのため転勤や転職などの理由で所有者が住宅に住まなくなると、基本的には住宅ローン控除を受けられなくなります。

ただし転勤などのやむを得ない事情で所有者が住宅を離れたあとも、以下に該当するのであれば、その他の要件を満たしていると引き続き住宅ローン控除を受けられます。

転勤などで自宅を離れることになったときは、最寄りの税務署や税理士などに相談し、引き続き住宅ローン控除を受けられるかを確認すると良いでしょう。

 

【まとめ】住宅ローン控除でマンション購入の負担を軽減できる

新築マンションを購入して住宅ローン控除を受けられると、最長13年にわたって年末残高の0.7%分の減税を受けられます。

住宅ローン控除の対象となる借入限度額は、新築マンションの場合、最大5,000万円です。

住宅ローン控除の内容は、マンションの環境性能や住宅ローンの借り方など、さまざまな要素で変わります。

住宅ローンを組んで新築マンションを購入するときは、ご自身がどのような住宅ローン控除を受けられるのか不動産会社の担当者に確認すると良いでしょう。

 

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