マンションは購入すべき?賃貸と比較したメリット・デメリットを解説
目次
固定資産税とは、毎年1月1日時点で土地や建物などの固定資産を所有する人に課せられる税金です。
マンションが市街化区域内にある場合は、固定資産税とあわせて都市計画税を納めます。
まずは固定資産税の計算方法をみていきましょう。
固定資産税評価額は、自治体(各市町村)が定める土地や建物の価格です。
固定資産税は、土地と建物それぞれの固定資産税評価額に税率をかけて計算します。
多くの自治体は、税率を1.4%(標準税率)に設定しています。
土地部分の固定資産税評価額は、実勢価格(地価公示)の7割程度です。
マンションの場合は、敷地に対する持分の割合に応じて算出されます。
建物部分の固定資産税評価額は、基本的に建物を再建築したときの価格です。
また評価額を計算する際は、経年劣化で失われた価値が加味されます。
課税標準額とは、固定資産税をはじめとした税金を計算する際に基準となる金額です。
正確にいえば固定資産税は、固定資産税評価額をもとに決まる課税標準額に税率をかけて計算します。
建物の課税標準額は、基本的に固定資産税評価額と同額です。
一方で土地については、固定資産税評価額に軽減措置や負担調整率などが適用されることで、課税標準額が低くなるのが一般的です。
固定資産税は、不動産を含む固定資産を「所有している人」に課せられる税金です。
不動産を「借りている人」には課税されません。
そのため固定資産税が課せられるのは、マンションを購入して区分所有者となった人です。
賃貸マンションの場合、固定資産税を納めるのは借主ではなく物件のオーナーとなります。
固定資産税を支払う時期は、市区町村によって異なりますが、4~6月ごろに送付されてくる納付書をもとに年4回に分けて支払います。
1年分をまとめて納めることも可能です。
納付書を市区町村の窓口やコンビニ、郵便局などに持参すると、固定資産税を支払えます。
また最近 では、スマートフォン決済アプリで固定資産税が支払える自治体も増えてきました。
なお中古マンションや完成済みの新築マンションの購入時は、売主がすでに1年分の固定資産税を支払っているため、買主が住み始めたあとの期間分の固定資産税を売主に支払って精算するのが一般的です。
土地部分の固定資産税については、所定の要件を満たすと軽減措置が適用されます。
また新築マンションや所定の環境性能を有しているマンションは、一定の床面積まで建物部分の固定資産税が半額になります。
土地のうえに、マンションのように 人が居住するための建物が建っている場合、土地部分の固定資産税評価額に以下の軽減措置が適用されて課税標準額が計算されます。
なお住宅用地の特例措置は、都市計画税にも適用されます。
都市計画税に特例措置が適用されると、200㎡までの部分は価格が1/3、200㎡超の部分は2/3に減額されます。
建物部分の固定資産税は、建築年月日や床面積などが一定の要件を満たす場合、1戸あたり床面積120㎡を限度に税額が1/2となります。
マンションのような3階以上ある耐火・準耐火建築物の場合、軽減措置が受けられる期間は5年間です。
軽減措置を適用するための要件は、以下のとおりです。
認定長期優良住宅とは、省エネ性能やバリアフリー性能、耐震性能などが一定の基準を満たす高性能な住宅です。
マンションが認定長期優良住宅である場合、新築住宅の減額を受けられる期間が7年間に延長されます。
2017年(平成29年)4月1日よりあとにタワーマンションを購入した場合、高層階ほど固定資産税は高くなります。
マンションの場合、本来であれば専有部分の床面積に応じて固定資産税が計算されます。
そのため、専有部分の床面積が同じであれば、階層に関係なく固定資産税は同額となります。
しかしマンションは、高層階ほど住戸の販売価格は高くなるのが一般的です。
延べ床面積が同じであるからといって、階層にかかわらず同じ額の固定資産税を課してしまうと不公平になりかねません。
そこで2017年(平成29年)度の税制改正により、高さが60mを超えるタワーマンションでは、固定資産税を計算する際、階層に応じた補正が加えられることになりました。
なお2017年3月31日以前に、居住用に タワーマンションを購入した場合は、固定資産税を計算する際の階層に応じた補正は適用されません。
固定資産税の税額は、実際にはいくらになるのでしょうか。
以下のモデルケースを用いて、シミュレーションします。
なお土地の所有面積は、200㎡未満、固定資産税の税率は1.4%(標準税率)とします。
また土地部分の固定資産税評価額については、計算を簡単にするために本シミュレーションでは築年数が経過しても変わらないものとします。
新築マンションの場合、建物部分の固定資産税に新築住宅の減額が適用され、税額が半分になります。
また土地部分の固定資産税を計算する際は、200㎡まで固定資産税額評価額が1/6となる軽減措置が適用されます。
築10年のマンションは、建物部分の固定資産税額に軽減措置が適用されません。
一方で経年劣化をはじめとした要因により、建物部分の固定資産税評価額が1,110万円に下がっていた場合、固定資産税の税額は、以下のとおりです。
築25年が経過し、経年劣化をはじめとした要因で建物部分の固定資産税評価額が600万円に下がっていた場合、固定資産税額は以下のとおりとなります。
築40年となり、建物部分の固定資産税評価額が310万円まで下がっていた 場合、固定資産税額は以下のとおりです。
モデルケースでの固定資産税額を、築年数別にまとめると以下のとおりとなります。
固定資産税額 | |
新築 | 116,666円 |
築10年 | 167,066円 |
築25年 | 95,666円 |
築40年 | 55,066円 |
築10年の固定資産税が、もっとも高い結果となりました。
これは建物部分の税額を計算する際、新築住宅の軽減措置が適用されなくなったためです。
しかしその後は、築年数が経過するごとに建物部分の固定資産税評価額は下がっていくため、税負担は軽くなっていきます。
築40年になると、固定資産税額は新築時の半額以下となります。
戸建て住宅の場合、所有する土地のすべてが固定資産税の課税対象となりますが、マンションは敷地面積に対する持分のみが課税対象です。
一概にはいえませんが、土地部分の固定資産税はマンションよりも戸建て住宅のほうが高くなる傾向にあります。
一方で建物の固定資産税は、 戸建て住宅よりもマンションのほうが高くなりやすいといわれてます。
マンションの多くは鉄筋コンクリート造であり、基本的に木造である戸建て住宅よりも建物の再建築価格が高い傾向にあるためです。
固定資産税の納付期限を過ぎても支払いをしなかった場合、自治体(市区町村)から督促状が届きます。
督促状が届いたあとに納税をすると、納付期限を超過した期間に応じた延滞金を支払わなければなりません。
また督促状が発行された日から10日が過ぎても固定資産税を納めないと、財産を差し押さえられてしまい、競売によって強制的に売却されることになります。
そのため固定資産税の支払いが難しくなったときは、早めに自治体の窓口で相談しましょう。
自治体に相談をすることで、分割納付や納期の延長などの対応をしてもらえる可能性があります。
固定資産税は、土地と建物それぞれの固定資産税評価額(課税標準額)に、税率(標準税率:1.4%)をかけて計算します。
また固定資産税には、軽減措置があり所定の要件を満たすと税額が軽減されます。
一方で不動産や税の専門知識がなければ、マンションの固定資産税を正確に計算するのは難しいかもしれません。
そこで新築マンションを購入する際は、不動産会社の担当者に固定資産税額の目安を確認しておくと良いでしょう。