マンション購入にかかる費用を徹底解説!諸費用の内訳や目安はどれくらい?
目次
マンションを現金一括で購入する主なメリットは、以下の4点です。
住宅ローンを借り入れた場合は、元本の返済と合わせて利息を支払う必要があります。
現金一括でマンションを購入するのであれば、利息を負担する必要はありません。
では、住宅ローンを借り入れると、どれほどの利息負担が発生するものなのでしょうか。
シミュレーションで確認してみましょう。
試算条件は、以下の通りです。
上記の条件で試算をすると、利息総額は約1,565万円、総返済額は約5,565万円となります。
また、毎月の返済額は約13.3万円です。
一方、住宅ローンを組まずに現金一括でマンションを購入したのであれば、利息の支払いや毎月の返済は不要となります。
住宅ローンを借り入れるときは、融資事務手数料や保証料、契約書に貼付する収入印紙代などの諸費用が発生します。
マンションを取得するときは、他にも不動産取得税や不動産登記費用などもかかり、合計で物件価格の3%程度の諸費用がかかります。
住宅ローンを組まないのであれば、借入時の諸費用はかからなくなるため、その分コストを抑えてマンションを購入することが可能です。
ここでは、現金一括購入をするとかからなくなる諸費用のうち、特に高額となりやすい「融資事務手数料」と「保証料」について解説します。
融資事務手数料とは、住宅ローンを借り入れる金融機関に支払う手数料のことです。
「定率型」と「定額型」の2種類があります。
定率型は「融資金額の2.2%」のように、融資金額に所定の料率をかける手数料体系です。
融資金額が高くなればなるほど、融資事務手数料も高額になっていきます。
一方の定額型は、数万〜数十万円ほどの一定金額を支払うため、融資金額に比例して融資事務手数料が増える心配はありません。
保証料は、保証会社に対して支払う手数料です。
保証会社は、住宅ローンの契約者が返済できなくなったとき、代わりに返済(代位弁済)する金融機関のことです。
保証料の支払い方法は「融資実行時の一括前払い」と「住宅ローン金利に上 乗せ」のどちらかが一般的です。
住宅ローンを借り入れたあとは、毎月返済をしていかなければなりません。
返済が長期間にわたって滞ってしまうと、最終的には金融機関に自宅を差し押さえられて、競売にかけられてしまいます。
現金一括でマンションを購入すると、住宅ローンの返済が不要であるため、金融機関に自宅を差し押さえられる心配はありません。
現金一括でマンションを購入する場合、住宅ローンを申し込まないため、手続きにかかる時間や契約時の書類が少なくて済みます。
現金一括で購入する場合と住宅ローンを組む場合では、以下のとおり手続きの流れが異なります。
現金一括で購入する場合 | 住宅ローンを組む場合 |
1.物件の購入申し込み | 1.物件の購入申し込み |
2.売買契約の締結 | 2.住宅ローンの事前審査 |
3.残代金の支払い・物件の引き渡し | 3.売買契約の締結 |
4.住宅ローンの本審査 | |
5.金融機関と金銭消費貸借契約 | |
6.融資実行・ 残代金の支払い・引き渡し |
住宅ローンを組む場合は、物件の申し込みをしたあとに、金融機関の審査を受けて承認を得なければなりません。
審査の承認を受けたあとは、金融機関と金銭消費貸借契約を結ぶ必要があります。
現金一括購入では、住宅ローンの審査を受けたり金銭消費貸借契約を結んだりする必要がないため、手続きの時間や手間を省けます。
現金一括購入と住宅ローンを利用した購入では、以下のとおり必要書類も異なります。
現金一括で購入する場合 | 住宅ローンを組む場合 |
・本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)
・印鑑(実印・認印) ・印鑑証明書 ・住民票 ・通帳・銀行印・キャッシュカード ※銀行決済の場合
|
・本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)
・印鑑(実印・認印) ・印鑑登録証明書 ・住民票 ・収入証明書類(源泉徴収票・確定申告書など) ・物件関連書類(売買契約書・パンフレット・チラシなど) ・通帳・銀行印 |
住宅ローンの審査を受けるときは、源泉徴収票や確定申告表など申し込んだ人の収入を証明する書類を提出します。
また物件の担保価値も審査されるため、購入予定の物件のパンフレットやチラシ、販売図面などの提出が求められるのが一般的です。
現金一括購入の場合は、収入や物件に関する書類を金融機関に提出する必要はありません。
マンションを現金一括で購入するデメリットは、主に以下の3点です。
住宅ローン控除は、住宅ローンを組んでマイホームを購入した人が受けられる税の優遇制度です。
マンションの入居日が2022年1月以降である場合、年末時点の借入残高の0.7%に相当する金額が、所得税と一部の住民税から控除されます。
控除を受けられる期間は、新築物件・不動産会社の買取再販物件が最長13年、既存住宅(中古住宅)が最長10年です。
住宅ローン控除は、住宅ローンを組んだ人の利息負担を軽減するために実施されている制度です。
現金一括でマンションを購入すると利息を負担しないため、住宅ローン控除による所得税と住民税の減税が受けられません。
ここで、住宅ローン控除を受けるといくらの減税が受けられるのかをご紹介します。
試算の条件は、以下のとおりです。
上記のケースで住宅ローン控除の控除額を計算すると、約308万円となります。
※控除期間を通じて年収や家族構成などが変わらない場合
シミュレーションと同じ条件のマンションを現金一括で購入すると、約308万円の減税を受けられなくなります。
新築と中古のどちらであっても、一般的にマンションは高額です。
現金一括でマンションを購入すると、手持ち資金を大幅に減らすことになるでしょう。
手持ち資金が著しく減ると「病気を患って働けなくなった」「退職をして収入が減った」などの事態になったとき、生活が苦しくなるかもしれません。
現金一括でマンションを購入するときは、購入後に充分な手持ち資金が残り、生活に支障がないのか慎重に検討する必要があります。
ほとんどの金融機関は、火災保険への加入を住宅ローンの融資条件としています。
そのため住宅ローンを組んでマンションを購入するときは、火災保険への加入を検討する機会があります。
一方で現金一括購入の場合、火災保険への加入は個人の判断に委ねられるため、加入し損ねる可能性があるのです。
火災保険に加入していなければ、隣人が起こした火災で自室や家具、家電などが燃えてしまったとき、基本的に自己負担で修理費用や買い換え費用をまかなうことになります。
また火災保険に加入しなければ、地震や津波による損害を補償する地震保険にも加入できません。
現金一括でマンションを購入するときは、火災保険や地震保険への加入を忘れずに検討しましょう。
現金一括購入と住宅ローンを利用した購入のどちらが得かは、一概にはいえません。
現金一括購入の場合、利息負担がなくなるため、全体的な出費を抑えられる可能性があります。
その一方で、住宅ローンを組むと、利息や借入時の諸費用はかかりますが、住宅ローン控除による減税で、金銭的な負担は軽減されるでしょう。
また、住宅ローンを利用すれば、手元に預貯金を残しておくことができます。
こうした預貯金があれば、不測の事態に備えたり将来のライフイベントに向けて金融商品を運用したりすることも可能でしょう。
現金一括購入と住宅ローンの利用のどちらが適しているのかは、保有資産や将来のライフプランによって変わります。
そのため、不動産会社や金融機関、ファイナンシャルプランナーなどに相談をして資金計画を入念に立てた上で判断することが大切です。
マンションを現金一括で購入すると、税務署から問い合わせがくることがあります。
これは資金の調達方法や、第三者からの贈与の有無などを確認するのが目的です。
1年間で贈与された財産の金額が110万円を超えると、贈与税がかかります。
例えばマンションの購入資金3,000万円を、祖父母から援助してもらっていたにもかかわらず、贈与税を納めていないと脱税となります。
自分自身で購入資金を準備していた場合や、資金提供資金を援助してもらったときに贈与税を適切に申告・納税していた場合は、それを証明できれば問題ありません。
しかし問い合わせに曖昧な回答をすると、税務調査が入ってしまうことがあります。
税務署からの問い合わせがいつきても良いように、不動産の売買契約書や贈与契約書、預金通帳などの書類は、必要になったときすぐに取り出せる場所に保管しておきましょう。
マンションの一括購入が向いていると考えられる人の例は、以下のとおりです。
マンションを購入したあとに充分な手持ち資金が残るのであれば、現金一括購入を選択しても良いと考えられます。
また住宅ローンを組む必要がないほど、格安なマンションを購入するときも現金一括での購入を選択すると良いでしょう。
住宅ローン控除は、所定の要件を満たさなければ適用できません。
例えば床面積50㎡未満※のマンションを購入する場合、住宅ローンを組んでも住宅ローンの控除の対象外です。
※年間の合計所得金額が1,000万円以下で、かつ2023年までに建築確認が済んでいる場合は、床面積40㎡未満
床面積が30㎡ほどのマンションは、現金一括購入で購入するのも選択肢のひとつです。
また住宅ローンを利用できない不動産投資をするためのマンションを購入するときに、現金一括を選択する方法もあります。
マンションを現金で購入するときは、親族からの資金援助を受けたり補助金を利用したりすると、購入後により多くの資金が手元に残りやすくなります。
現金一括でマンションを購入したいのであれば、親や祖父母から資金を援助してもらうのも方法です。
ただしそのまま資金を贈与してもらった場合、贈与額が年間で110万円を超えると贈与税が課せられるため、かえって金銭的な負担が増える恐れがあります。
そこで検討したいのが「住宅取得資金贈与の非課税措置」です。
住宅取得資金贈与の非課税措置を適用できると、贈与税の基礎控除額110万円に加えて以下の金額までの贈与に、贈与税が課せられなくなります。
※出典:財務省「令和4年度税制改正の大綱」
マンションによっては、補助金制度の対象となる場合があります。
例えば2023年には、子育て世帯または若者夫婦世帯が、所定の要件を満たす新築住宅(新築マンション)を購入すると、補助金が支給される「こどもエコすまい支援事業」が実施されました。
「こどもエコすまい支援事業」の受け付けは、2023年9月で終了していますが、今後も新築マンション購入時に利用できる補助金事業が実施される可能性もあります。
また自治体によっては、独自の補助金制度を実施している場合があります。
新築マンションを現金一括で購入するときは、対象となる補助金制度がないか探してみるとよいでしょう。
※補助金の情報は、2023年10月現在のものです。最新の情報については、各公式サイト等をご参照ください。
マンションを一括で購入すると、住宅ローンの利息や借入時の諸費用を支払う必要がなくなり、金銭的な負担を抑えられる可能性があります。
またローンの滞納によってマイホームを差し押さえられる心配はなく、購入時の手続きの手間や時間なども減らせます。
一方でマンションを現金一括で購入するときは、住宅ローン控除を利用できません。
手持ち資金が減る点や、火災保険に加入し損ねる可能性がある点にも注意が必要です。
現金一括で購入すべきか判断に迷うようであれば、新築マンションの販売実績が豊富な不動産会社に相談することをおすすめします。
参考:https://kodomo-mirai.mlit.go.jp/housing-purchase/?tab=1